ロバート・ニュートン・ペック/豚の死なない日

父ヘイヴン・ペックと息子ロバート。父と息子のひとつの理想の形がある。父が子に、自分は先が長くない事を伝える場面は印象的。父と息子から男と男になるとき。父と息子の関係はいつまでも不思議な感じだ。母と息子の間には生まれえない何かがあるように思…

ウィリアム・バロウズ/内なるネコ

「わたしたちは内なるネコ。一人では歩けないネコ。居場所はひとつしかない。」 バロウズの70歳記念出版の本みたい。 バロウズの本をもっと読んでから、もう一度読みたい本。それなりに予備知識が必要そうだ。 「楽しみたいなら、ずっとその場にいなくては…

ウィリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ/麻薬書簡

初バロウズ、そして初ギンズバーグ。幻のドラッグ、イェージを求める南米の旅。その間の手紙のやり取り。 ギンズバーグの文章がすごい。ドラッグで自分が体験した世界を細かいところまで記述している。絵を描いてイメージまで示している。ドラッグをやった事…

チャールズ・ブコウスキー/詩人と女たち

50歳を過ぎた詩人の男のもとに、女は次から次へとやってくる。薬、酒、女の繰り返し。 ブコウスキーは本当に正直だ。正直に生きた事を正直に書く。だから読者は主人公のチナスキー(ブコウスキー自身)に共感できるんだと思う。何も包み隠していない。ブコウ…

ジャック・ケルアック/路上

ケルアックの代表作。 旅に出たくなる。最高の喜びと最高の虚しさがいつも同居している感じ。サル・パラダイスとディーン・モリアーティは常に「生きている」人達だ。 バーで聴くあまりにも熱い狂ったようなジャズの描写は圧巻だった。音楽を読んでここまで…

チャールズ・ブコウスキー/死をポケットに入れて

なんたってタイトルが素晴らしい。70歳を過ぎた、競馬場通いが日課のオヤジが、マックで日記を書くとこんな感じになる。 日記と言ってもその日にあった事を書いている普通の日記では終わらなく、そこから内容は人生であったり死であったりに続いていく。 …

マルグリット・デュラス/モデラート・カンタービレ

のだめカンタービレじゃないです。モデラート・カンタービレ。 とても独特な雰囲気を持った作品。ちぐはぐな会話、妙な息子、港の夕暮れ・・・全てが絡み合って、読み進めていくと何かが沸きあがってくる。不思議な小説。 全体に虚しさが漂っている感じ。読…

カレル・チャペック/チャペックの犬と猫のお話

チェコを代表する作家、チャペック兄弟。初めて知った。挿絵がとてもカワイイ。この本の魅力のひとつは絵だ。 どちらかといえば犬も猫も苦手だ。何故だろう。単純に飼った経験がないからかもしれないし、心のどこかで恐がっているのかも知れない。別に犬に襲…

吉野 信/アフリカを行く

迫力のある写真がいっぱい。めちゃくちゃ美しい写真もある。残酷な写真もあるけど、全ては自然の摂理。みんな生きるために必死だ。本を読んで、アフリカ大陸はやはり魅力的だと感じる。 樹齢8000年と言われる、バオバブの木が凄まじい。実際に生で見たら…

ジャック・ケルアック/孤独な旅人

放浪生活の短編集。 詩を読んでいる気分になった。正直読みづらかった。つまらないわけでは全然無いのだけれど。 山火事監視員っていう仕事があるなんて初めて知った。一人で山火事が起こってないか延々と監視する。仕事の期間中は誰とも会わない。文字通り…

ジャック・ケルアック/地下街の人びと

ケルアックが3日間で書き上げた作品。ユニークなリズムとスピード感を持った文は新鮮だった。 ビートニクの生活を感じ取ることができる。ビートニクのライフスタイルは僕から見ればそれはそれはめちゃくちゃなもので絶対に自分はあんな生活できないと思うが…

坂口安吾/堕落論

天皇制に対する考え方とか、今読んでもとても刺激的なことがいっぱい書いてある。なんか歴史を勉強した気分になる。高校生の世界史なんかよりずっと面白く。どんなものも切り込み方次第で面白くなるもんだ。 「疑う」って事はとても大事なことなんだと思う。…

小林多喜二/蟹工船

船モノ、第二弾。たまたまです。凄い昔に、テレビでおばちゃんがこの本をプレゼンしてたのを思い出して読んでみた。 最初は、正直ちょっと読みづらく感じた。なかなか頭に入ってこない。ただなんか凄い状況なんだなって事は理解できる。文体で理解できる。た…

N.ゴーゴリ/狂人日記

素直に面白い。「畜生!」って思わず日常生活で使いたくなる。「犬っぽい書体」とかその感覚が面白い。とにかく奇妙です。ものすごい妄想です。ここまで病んでると、気持ち良い位。

カミュ/異邦人

久々にキタ。文のキレとか淡々とした感じが堪らない。めちゃくちゃ乾いてる。 読んでいる間に自分中から興奮が湧き上がってくる感じを久しぶりに味わった。内容ももちろんだけど、雰囲気に反応していたと思う。105円でこんな興奮が味わえるなんて、素敵な…

野上 彌生子/海神丸

急に本が読みたくなったから、読んだ。高校生のときに買わされた本だったと思う。 かなり激しい内容。人間を食べたい欲望に駆られる程の空腹感とは。最早「空腹」なんて表現じゃ、甘っちょろいのかもしれないけど。 印象に残っているのは、その欲望に負けて…

Christopher Dunn (原著), 国安 真奈 (翻訳)/トロピカーリア―ブラジル音楽を変革した文化ムーヴメント

音楽などアートの力を感じる今日この頃。ブラジルのトロピカーリアムーブメントについて記した本。「サイケデリックな音楽」っていう知識しかなかった僕には正直ちょっと難しい。裏を返せばそのくらい深い文化運動だったと言える。 カエターノ・ヴェローゾや…

トニ・モリスン/スーラ

2人の女性の友情と愛を家族3世代くらいの話をしながら書いた作品。ネルとスーラ。 直接的に語られる部分が非常に少ないので、正直わかりにくかった。ただその黒人らしい表現(?)というものに惹かれた。比喩とかに何ともいえない妖艶さを感じる。エロっぽい…

村上春樹編訳/バースデイ・ストーリーズ

誕生日にまつわる短編を集めたもの。ハッピー・バースデイ・ストーリーズでは全然ない。 ラッセル・バンクスの「ムーア人」の切なさと優しさは堪らない。とてもとても良い話です。この短編が一番最初に収められているのがわかる気がする。 ライブラリー版に…

レイモンド・カーヴァー/大聖堂

とにかく「大聖堂」がすごい。ラストの盲人と手を重ねて絵を描くシーンは読んでいて何故あんなにもドキドキしてしまうのか。読後感が堪らない。何回読んでも飽きることはない気がする。 「ささやかだけれど、役に立つこと」は「風呂」という作品のロングヴァ…

マルキ・ド・サド/ソドムの百二十日

図書館に行って、ちょっと奥の席に座って、何気なく横の本棚を見たら発見。おもむろに本棚から取り出した。 電車の中で読むようなものでもないと思うが、それはそれでちょっと刺激的な体験ではある。訳してる人の文章の雰囲気が、また怪しい感じがして。 こ…

古長谷 稔/放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策

これをちょっと読んでみたい。今日は買えなかったのだけれど。 地震は近々くるだろうから、これはかなり危機迫った問題であると今日感じた。いまさら感じた。

池谷 裕二,糸井 重里/海馬―脳は疲れない

応援歌ならぬ応援本。 「何でもやってみよー、気楽にねー」って気になる。 池谷さんの九九のやり方が面白かった。例えば「九かける八」は九十から九を二回引くと「七二」って具合に。「ぼくの方法なら十倍することと二倍することと半分にすることの三つの方…

若林 幹夫/地図の想像力

かなり刺激的な本。 まだ1回しか読んでないけど、「刺激的」ってことだけはわかる。 イメージの中を生きてるのかもしれないって思った。 何回も読みたい。

村上 龍,村上 春樹/ウォーク・ドント・ラン

2人の対談集。アマゾンの値段が大変なことになってます。 1980年の本だからかなり古い。最初に載ってる2人の写真も若いです。 奥さんについて、何故書くのか、セックスについて、ネコについて、ジャズについて・・・などなどとても面白いです。「朝ご…

柴田 元幸/僕の恋、僕の傘

英米文学の短編集。なんか読んでて不思議な感じで、ガツンとくるものはあまり無かった。それでも「ブロードムアの少年時代」の次の部分はグッと来た。 “鍬を一本盗んだだけでここへ送られてきた男もいた。もっとも、なぜ鍬など盗んだかといえば、鍬を使って…

村上春樹/月曜日は最悪だとみんなは言うけれど

ティム・オブライエンの「私の中のヴェトナム」が圧倒的だった。悲惨さと美しさが同居してる感じ。かなり読み応えがある。トム・ジョーンズの「おれって天才だぜ〜、ベイビ〜」って感じのエネルギーと勢いに満ち溢れた文体もかなり素敵。 エッセイとか短編が…

J.D.サリンジャー/キャッチャー・イン・ザ・ライ

今の時期に読んで良かった。友達に借りたまんまの本。こーゆーのが結構ある。借りたまんま返してないみたいな。ダメな人です。 いろいろインチキくさいけど、結局この中でやってくしかないっていう感じ。最後のほうで何箇所か泣きそうになった。泣かなかった…

小川 洋子/博士の愛した数式

友達が貸してくれた本。 さらっとしてて、読後感が心地よかった。イメージが頭の中に浮かびやすい文章だったような。イメージできた最後のシーンはとても良かった。野球カードを首にぶら下げてる感じとか。キャッチボールしてる雰囲気とか。√はステキな先生…

小林紀晴/写真学生

友達から借りたもの。 なんか格好よすぎなくて良い。ダサい感じがあったりして。何とも言えない感じを何とも言えない感じで書いてて、読んでて共感できるところがいっぱいあった。 恋愛小説としても素敵だ。