柴田 元幸/僕の恋、僕の傘

僕の恋、僕の傘
 英米文学の短編集。なんか読んでて不思議な感じで、ガツンとくるものはあまり無かった。それでも「ブロードムアの少年時代」の次の部分はグッと来た。
“鍬を一本盗んだだけでここへ送られてきた男もいた。もっとも、なぜ鍬など盗んだかといえば、鍬を使って父親を殺そうとしたのであり、なぜ父親を殺そうとしたかといえば、父親さえいなくなれば彼が本当にやりたいことができるようになるからだった。そして彼が本当にやりたかったのは、母親を殺すことだった。私の父はこれを、「解決不能な内向きのエディプス・コンプレックス」と呼んだ。”