ロバート・ニュートン・ペック/豚の死なない日

豚の死なない日
 父ヘイヴン・ペックと息子ロバート。父と息子のひとつの理想の形がある。父が子に、自分は先が長くない事を伝える場面は印象的。父と息子から男と男になるとき。父と息子の関係はいつまでも不思議な感じだ。母と息子の間には生まれえない何かがあるように思う。父からしか得ることができない空気がある。
 物語の入り方が割と強烈。いろいろあってロバートは息苦しそうな牛の口の中に手を突っ込む。喉の辺りに何か丸いものがあるのを感じる。これが息苦しくさせている原因だと思い、喉からその丸っこいものを手でむしり取る。その丸いものの正体は甲状腺腫。僕はこの「生きてるみたい」な甲状腺腫に興味を持ってしまった。どのくらいの大きさなのか。見た目はどんな感じか?喉からそれがすっきりむしり取られたのを想像すると、何だかとてもスッキリする。別に自分のものがむしり取られたわけではないのに。瘡蓋がめちゃくちゃ綺麗に取れたときの感覚に似たスッキリ感。
 本の内容とは大分関係ないところまでいきましたが、とにかく温かい物語です。