ピート・ハミル/ニューヨーク・スケッチブック

ニューヨーク・スケッチブック―A New York sketchbook
 34の短編+1。煌びやかなニューヨークの影で生まれる様々な人間模様。
 短編がうまい人は凄い。登場する人物のあるひと時、ある一瞬を簡潔に表現しながら、その人物のそれまでの人生とか生き方を喚起させる。この人は昔こんな感じだったんだろうなと何となく登場する人物を想像できる。その人を感じることができる一瞬を切り抜く洞察力と的確に表現する力が合わさって、とても奥深くて濃い短編になっていると思う。
 このあとどうなったんだろうと気になってしまう話が多くて、それを考えてみるのもまた楽しかったりする。自分の経験に引っかけることが出来そうな部分も多くて、いろんな読み方が出来そう。
 +1は「黄色いハンカチ」で「幸福の黄色いハンカチ」の原作みたいです。