理性の眠りは怪物を生む

 昼ごはんを食べて、町田に行く。国際版画美術館へ。「国際」なんてスゲー立派じゃん。町田に「国際」と名のつくものがあるんです。今やってる企画展は「ゴヤ版画展 」。3つの版画集全点をすべて初版で公開している。200円で見ることができる。常設は無料。
 ゴヤの版画に出てくる魔物は日本の妖怪っぽかった。極めて和風だと感じた。スペインと日本はこんなにも離れているのに、同じようなキャラクターが登場するのはとても面白い。『ロス・カプリチョス』という版画集の中の作品につけられたタイトルがどれも示唆的だった。訳わからない版画も数多くあったが楽しめた。『妄(もう)』というシリーズは面白かった。何から何までこの作品については謎らしい。謎とか、そーゆーのが好きだ。勝手にいろいろな想像をめぐらすことができる。このシリーズの中の「飛翔法」という作品が滑稽で抜群に良かった。ポストカードまで買っちゃった。ちょっとズレた感じのおかしさが版画の中に漂ってた。『戦争の惨禍』という作品では目を覆いたくなるような場面が淡々と刻まれていた。「悲惨」を冷静に切り取るいうのは難しいことだと思う。版画には悲惨さと同時に静けさがあった。人間をあらゆる視点から面白おかしく、あるときは痛烈に諷刺しながらも人間をあきらめてない感じがした。こんな姿勢がステキだ。批判するだけなら簡単かもしれない。悪い点は目に付きやすい。全体的に、何だかよくわからない作品も多かったけど惹きつけられた。常設展をゆっくり見ることができなかったので今度見に行きたい。
 美術館を出てユニオンで1枚CDを買って池袋へ向かう。飲み会。よく集まるメンバー。笑いが絶えないのが何よりも良いところだと思う。とりあえず行けば面白い。とりあえず行けば面白いなんて結構貴重なんじゃん、と思う。ただ今日はお金がかかったので、ここら辺はもう少し改善できると思う。なんたってお金がないのだ。
 「今回は終電で帰れる!」と思ったら渋谷で足止めを喰らう。電車が動かない。どっかの駅の線路に人が侵入したらしい。勘弁してくれ。こーゆー時、怒り気味に駅員さんに詰め寄る人を見かけるけど、駅員さんに詰め寄るのはちょっと違うのでは。駅員さんにだってどうにもならないことはいっぱいあるんだ。
 10分くらい待ったら電車が動き出して、何とか家にたどり着くことができた。めでたしめでたし。