やっと上陸


 朝の4時半くらいに起きて、5時過ぎの電車に乗った。安く済ますためなら、早起きもなんのその。
 とにかく、まずはうどんを食べることだ。昨年行ったお店とは別のところで讃岐うどんを食すことが重要だ。
 鈍行を乗り継いで、坂出に10時過ぎに到着。とりあえず朝ごはんとして釜揚げうどん。ブラブラしてブランチでかけ冷+ちくわ天。ここは前回行きたくて行けなかった製麺所。外観がまずお店じゃないし、やっとの事で見つけて中に入っても何だかシステムが全然わからなくて、使用済みの割り箸を使いそうになったりしながらもハキハキしたおばちゃんに促されながら、やっとうどんにありつけた。そして思う。ちくわ天がここまで美味かったとは!昔、給食でちくわ天がでるととてもがっかりしてた記憶があるだけに、アノ美味さは衝撃的だった。満足して、また駅の方に戻る。13時前。お昼の時間だ。駅近くのセルフのお店でかけ冷+ちくわ天。またちくわ天かよ、と突っ込まれても全然構わないね。そんくらい美味しかったんだから。
 満腹で宇野へ戻る。宇野からフェリーで直島。ジワジワ高まる期待。フェリーから気持ち悪い赤い南瓜が見えた。ついに直島上陸。行こうと思いつつ、悪天候のために直島から焼肉に変更になったアノ時から早2年。何とか上陸する事が出来ました。
 最初の印象は意外と地味。オフシーズンでしかも月曜日。そりゃ人いないわという感じ。島内を、ひとりでブラブラ。小学生が挨拶してくれる。こんにちわ。小学校にはゾウもいます。なんとも穏やか。古い家が立ち並び、単純に観ていて楽しい。そんな雰囲気の中に面白い作品が点々とある感じ。公共施設も何だかお洒落。昔から島の公共施設の設計は一人の建築家の方に頼んでいたみたい。だから何となく島に統一感があって。昔からアートしてたってことでしょうか、この島は。
 先日予約した民宿に行くと犬が出迎えてくれた。基本的に動物苦手なんだけど、あーやってよってこられるともう「ヨシヨシヨシヨシー」ってやるしかない。やってみたら普通に可愛いし。内心ビビりながらも、しっかりなめられたりしてる僕。宿のおばちゃんはとてもカッコ良かった。気だるさが。夏木マリみたいな感じで。
 夜はそのクールなおばちゃんが車で島内にある作品めぐりをしてくれた。犬も一緒に。おばちゃんが運転中、犬は僕のひざの上。この光景は奇跡だ。ヨシヨシヨシヨシ、可愛いねー。一通り、外にある作品を見た後、ベネッセハウス(現代美術館)まで連れてってくれた。今日見れるところは見といた方が良いと言うことで。サラッと、「迎えに来るから、観終わったら電話して」と言ってくれる夏木マリ、じゃなくておばちゃん。ありがたい、ありがたい。本当によくしてもらった。
 オフシーズンの月曜日の夜の美術館に人はいるはずもなく、美術館を独り占め。モーターで口をパクパクさせている3人の人達の会話と自分の足音が鳴り響くのみ。作品どうこうより、この独り占め感にやられた。最高だった。ブルース・ナウマンという人の「100生きて死ね」という作品がタイトルと共に印象に残ってる。Smile and LiveとかBlack and Dieみたいに「〜 and Live」「〜 and Die」って風に書かれた100個の電飾が無作為に点いたり消えたりする作品。ほの暗い空間の中でただピカピカしてるだけの、その無機質な感じが良かった。Black and Liveが一番好き。
 おばちゃんに迎えに来てもらって、宿に戻る。NANAを観ながら同じ宿に泊まった女の子とおばちゃんとグダグダお話。NANAを観始めて大分してから「どっちともナナって言うの?」っていきなりのおばちゃんのコメント、ナイス。
 お風呂に入って、明日に備えて早めの就寝。